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2004.04.08

交通整理係としての自閉症

カイパパさんという方のWeblogに「ミニカー整列!」というエントリがある。
これと似たようなことを、先日もっと大げさに考えたことがあったので、そのことについて。

かつて息子(7歳、自閉症児)の発語は喃語だけだった。そのほとんどが不安や不満を感じたときに発信されるものなので、顔や声色から、その背後にある意味を簡単につかむことができた。

そこに、「発語の快感」にのみ奉仕する遅延エコラリアが加わった。
要は、脳内データベースに蓄積された単語/フレーズ/メロディーを、ただ楽しいから発音する、というものである。
以前ならば黙っていた場面でそれをする。
ただ、あごやのど周辺の筋肉が未熟なので、発音はひどくたどたどしいし、長いフレーズになると苦しそうでさえある。
が、その筋肉の負荷も含めて楽しんでいるのだろうな。
正直「それのどこが楽しい」と聞きたいが、明らかに表情はリラックスしている。

それから最近、「いたい」という形容詞を使うようになった。
転んでひざをすりむいたら「ひざ、いたい」、体の向きを変えた父の手が自分のおでこにぶつかったら「おでこ、いたい」と言う。
かつてないほど、言葉の使い方とタイミングが的確である。
が、これはたぶん「発語の快感」の発展形ですな。
たとえば、明らかにひざにすごい打撃を受けた場合でも「ひざ、いたい」と言ってにこにこしているし、逆に他人の手がちょっと彼のおなかに触れただけでも「おなか、いたい」と面白そうに言うからだ。
それでも、かつては痛いときは単純に泣き、ちょっと触れたときは何も反応しなかった。
刺激の入力処理と出力の表現が未熟だったあのころに比べれば、世界は広がっている。

また、たとえば、乳児から幼児になったばかりのころは、人が集まってざわめいている場所もまったく平気だった。
やがて、そのような場所では、興奮と多動と探索癖が見られるようになった。
で、ようやく今、自閉症らしい忌避の態度が見られるようになった。さわがしい場所に放り込まれると、

「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1」

とカウントダウンを始め、

「ゼロっ。お・し・ま・い」

と言って退場しようとするところに来ている。

かつての息子には、ここまでの自閉っぽさはなかった。
視覚優位なのはたしかだったが、注目してほしい部分とは別のところに注意が行ってしまい、なかなか戻ってこない。
構造化のために用意したツールも、ことごとく別の文脈での感覚遊びの道具になっている。
パニックという形さえとれず、多動と興奮にひたすら振り回されている。
そんな時期をようやく脱しつつある彼を見て感じることだが、最近、彼の中の「自閉症」が感覚刺激の交通整理係になっているようにも思える。
いよいよ彼の中の自閉症が仕事を始めてきた、というか。
個人的な実感としては、かつて彼の成長にとって足かせになっていたものを、自閉症の特性がしずかに分解してくれているような感じさえしている。
先日、主治医が

「これから自閉症の療育が始まりますよ」

というようなことを言った。
もちろん今までも療育をしていたが、僕と妻にはなるほどと思える表現だった。
成長には、自閉症の特性がすっきりと現れてくるプロセスという側面があり、療育には、その自閉症の特性を出しやすくするための道ならしという側面があるんじゃないかな、と最近しきりに思う。

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Comments

はじめまして カイパパです☆

Trackbackありがとうございました。

「イタイ」ということば、うちの子カイも、つい最近になって「ィテー」と頭をぶつけたりした「適切な場面」で発語するようになりました。

fukudaOttoさんの考察、すごく納得して読みました。
主治医の言葉も、「なるほどー」といった感じです。

このブログを私のMybloglistに登録させていただきますね。また遊びに来ます。

P.S.
息子さん、ハンサムですねー!

カイパパさん、ありがとうございます。
メインストリームの子たちと経路は違うけど、うちの子も成長してる。その成長を自閉症は邪魔してるんじゃなくて、逆に後押ししてくれてる部分があるよな、と感じるようになりました。そのへんの個人的な思いを、もっと自然な文章で伝えたかったんですが、いま読むと、われながら口調が堅いなあ。お恥ずかしいかぎりです。でも、読んでくださってありがとうございます。

> 息子さん、ハンサムですねー

ありがとうございます。カメラを見るときに、眉間のあたりに力が入ってしまって、写真では無意味にナイスガイになってしまうのですが、ふだんはただのガキんちょです。

どうもです
こないだは・・遅刻及び飲めないで??すいませんでした・・
てか・・けいすけくんも話すようになってきて良かったですね
これから・・色々な事、記憶及び行動が出てきますね

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